間取りのベスト10とワースト10の番外編
【番外編1】スキップフロア
スキップフロアとは、同じ階の中で床の高さに変化をつけて空間を仕切る間取りのこと。1.5階や中2階のような感覚で、立体的な空間づかいができる点が魅力です。限られた面積でも、広がりや奥行きを感じられ、「ちょっと特別な場所」が生まれます。リビングの一角に高さを変えた書斎やプレイルームを設けたり、収納スペースを段差の下に設けたりと、アイデア次第で多彩な使い方が可能です。
最大のメリットは、空間に変化と楽しさが生まれること。視線の抜けや上下のつながりができるため、家族とのコミュニケーションも活発になります。子どもの遊び場や家族の隠れ家のような使い方にも向いており、コンパクトな家でも「広がり」を演出できます。
一方で、注意点も。段差が多くなるため、高齢の家族や小さなお子さんにとっては転倒リスクがあります。また、家具の配置が難しくなったり、将来的にバリアフリー化しにくいといったデメリットもあるため、ライフステージの変化を見据えて慎重に検討することが大切です。空間の遊び心と実用性をどう両立させるかが、スキップフロアを成功させるカギです。

【番外編2】ロフト
ロフトとは、天井高を活かして上部に設けられる中間層の空間のこと。収納スペースや寝室、趣味の空間として活用されることが多く、平屋や狭小住宅など、限られた床面積を有効に使いたいときに重宝されます。「ちょっと隠れ家のような場所が欲しい」「荷物を見せずにしまいたい」というニーズにも応える間取りです。
ロフトの最大のメリットは、建築面積を増やさずに“プラスαの空間”を作れること。特に天井高がある住宅では、デッドスペースになりがちな上部空間を有効活用できます。また、空間に変化が出るため、遊び心や個性を感じられる家づくりができます。子どもにとっては秘密基地のような楽しい場所、大人にとっては趣味や作業に集中できる“こもり空間”にもなります。
ただし、注意点もあります。ロフトは天井が低いため、立って動けるほどのスペースは確保できません。また、はしごや階段での上り下りが必要になるため、安全面への配慮が必要です。夏場は熱気がこもりやすく、換気や空調の工夫も欠かせません。収納用としても物の出し入れが面倒になりがちで、「結局使わなくなった」という声もあります。
ロフトを設ける際は、使用目的を明確にし、無理のない設計にすることが大切です。魅力的な空間として活かすためには、照明や換気、動線の工夫が成功のカギになります。

【番外編3】2階リビング
2階リビングとは、その名のとおり、リビングを通常の1階ではなく2階に配置する間取りのこと。都市部の狭小地や住宅密集地でよく採用され、採光やプライバシーの確保を目的に選ばれることが多いスタイルです。特に敷地が限られている場合や、周囲の建物に囲まれている土地では、大きなメリットを発揮します。
2階リビングの最大の魅力は、明るく開放的な空間を確保しやすいこと。上階の方が日当たりや風通しが良いため、1階では得られにくい快適な環境が実現できます。また、道路や隣家からの視線を避けられるため、カーテンを閉めっぱなしにせずに済み、日中も自然光を取り入れて暮らせます。バルコニーとつなげてアウトドアリビングとして使えば、さらにゆとりある空間に。
一方でデメリットもあります。まず、階段の上り下りが生活の中心になるため、老後や体調不良時の負担を感じやすくなります。特に買い物帰りの荷物や小さな子どもを連れての移動には注意が必要。また、来客動線や玄関からの距離感が気になるケースもあります。加えて、1階部分を寝室や水まわりとする場合、上下の生活音が気になることもあります。
2階リビングを選ぶ際は、家族構成や将来の暮らし方をよく考えることが重要です。階段の位置や勾配、収納の配置、空調の工夫などを検討し、日々の動線にストレスが出ない設計にすることで、2階リビングの魅力を最大限に活かせます。

【番外編4】ウッドデッキ
ウッドデッキとは、屋外に設ける木製(または木調)の床のこと。リビングやダイニングからつながるように配置し、屋内と屋外の中間的なスペースとして使われます。バーベキューやティータイム、子どもの遊び場、ペットのくつろぎスペースなど、多目的に使える点で人気のあるアイテムです。
最大のメリットは、暮らしに「外の楽しさ」を取り入れられること。室内と高さを合わせれば、リビングが広がったような開放感が生まれ、屋内にいながら自然を感じることができます。天気の良い日は、ウッドデッキで朝食や読書を楽しむのも気持ちのいい過ごし方です。また、家族や友人とのちょっとした集まりにもぴったりの空間になります。
さらに、掃き出し窓からの段差をなくすことで、家の中からそのまま外に出やすくなり、子育て世代にも人気です。小さな子どもが外遊びをする際も、リビングから目が届きやすく安心です。植栽やフェンスと組み合わせれば、よりプライベート感のある「第二のリビング」が完成します。
ただし、ウッドデッキには定期的なメンテナンスが必要です。天然木の場合は塗装や防腐処理をしないと劣化しやすく、ささくれや腐食の原因になります。人工木(樹脂木)を選べばメンテナンスは楽になりますが、コストはやや高め。また、設置する場所や方角によっては日差しが強すぎたり、雨で滑りやすくなることもあるため、庇(ひさし)や屋根との兼ね合いも検討が必要です。
ウッドデッキは「家の中にいながら自然を楽しむ」暮らしを叶えてくれる要素。ライフスタイルに合った使い方を考えることで、その魅力を最大限に引き出せます。

【番外編5】書斎コーナー
書斎コーナーとは、リビングや寝室の一角に設けられた、仕事や趣味、勉強に集中できる小さなスペースのことです。在宅ワークやオンライン学習が増えた現代では、「完全な個室までは必要ないけれど、自分だけの集中できる空間がほしい」というニーズに応える間取りとして注目されています。
メリットは何と言っても省スペースで集中空間を確保できること。1〜2帖程度でも、机と棚、照明があれば十分に機能します。リビングや廊下の一角に設ければ、家族とのつながりを感じながらも、自分の時間にしっかりと向き合える環境が整います。仕事や家計簿、読書や趣味の手仕事など、ちょっとした「こもり空間」があることで暮らしの満足度は大きく向上します。
また、空間を完全に仕切らないため、風通しや採光にも優れ、家全体の開放感を損ねないのも特徴です。個室型の書斎よりもコストを抑えられる点も魅力のひとつ。棚をつけたり、造作デスクを設けたりすることで、より快適な空間に仕上げることができます。
ただし、周囲の生活音や視線が気になるというデメリットも。リビングと隣接しているとテレビの音や家族の会話が耳に入り、集中しづらい場面もあるため、配置には工夫が必要です。また、仕事や学習に長時間使うことを想定する場合、照明や通気性、椅子の快適性にも配慮すべきです。
「小さくても、自分の世界に浸れる場所」があることは、心にゆとりを生み出します。家族との時間を大切にしながら、ひとりの時間もしっかり確保したい人にとって、書斎コーナーは理想的な選択肢です。

【番外編6】多機能リビング(子どもがすくすく育つ間取り)
多機能リビングとは、単に「くつろぐ場所」だけでなく、子どもの遊び場や学習スペース、家事スペースとしても使えるように設計された、機能性の高いリビングのことです。家族全員が自然に集まり、それぞれの活動をしながらもコミュニケーションがとれる間取りは、子どもの健やかな成長をサポートする住空間として注目されています。
最大のメリットは、家族の気配を感じながら自由に過ごせること。子どもが小さいうちは、目の届く範囲で遊ばせたり、勉強させたりすることで安心感があります。また、オープンキッチンと組み合わせることで、親が料理中でも子どもの様子を見守ることができ、自然と会話が生まれる環境に。学習コーナーや収納、畳スペースなどを取り入れて、成長やライフスタイルの変化に応じて柔軟に使えるのも大きな魅力です。
家事の合間に子どもの相手ができるよう、洗濯や片付けもリビング周辺で完結する動線にすることで、親にとってもストレスの少ない子育て空間になります。たとえば、リビング収納におもちゃや学用品をまとめておけば、片付け習慣を育むきっかけにもなります。
一方で注意点も。多機能にしすぎると、雑然としやすく、落ち着ける空間が確保しづらくなる可能性があります。エリア分けや収納計画、照明の使い方などを工夫し、空間にメリハリを持たせることが重要です。また、家族の動線が交錯しやすくなるため、十分な通路幅を確保するなど、快適性を保つ設計が求められます。
多機能リビングは、子どもの「育ち」と家族の「つながり」を両立できる、現代の子育て世帯にぴったりな間取りです。

【番外編7】学習コーナー(子どもがすくすく育つ間取り)
学習コーナーとは、リビングやダイニングの一角に設けた、子どもが宿題や勉強をするための専用スペースのことです。「リビング学習」が注目される中、集中しやすく、親の目が届く安心な場所として、多くの子育て世帯に選ばれています。個室ではないため、孤立せずに学べる点が特徴です。
最大のメリットは、子どもが安心して勉強できる環境が整うこと。まだ小さなうちは、個室でひとりで勉強するよりも、家族の気配を感じながら学習するほうが落ち着く子も多く、勉強習慣をつけやすいと言われています。親も、夕食の準備や家事をしながら、宿題を見てあげたり、声かけをしたりと、自然に関わることができるのが大きな利点です。
また、学習だけでなく、お絵かきや読書、工作など、**多目的に使える「子どもの活動基地」**としても活躍します。学用品やプリント類を収納する棚をセットにすれば、片付けの習慣づけにもつながり、散らかりがちなリビングもすっきり保てます。
一方で、生活空間の一部に設けるため、集中力が続きにくい環境になる可能性もあります。テレビや家族の話し声が気になるときには、間仕切りや袖壁、照明の工夫で「学びの雰囲気」を演出することが大切です。机や椅子のサイズにも気を配り、体に合った学習環境を整えることもポイントです。
学習コーナーは、ただ勉強をする場所ではなく、子どもが安心して成長できる「家の中の学び場」。家族の近くで過ごしながら、集中と自立を育むスペースとして、今後も注目される間取りです。


【番外編8】ライブラリーコーナー(子どもがすくすく育つ間取り)
ライブラリーコーナーとは、家の一角に本棚や読書スペースを設けた、小さな“おうち図書館”のような空間です。家族全員が本に触れやすい環境をつくることで、子どもの知的好奇心や集中力を育てることができ、教育的な効果も高いと注目されています。
最大のメリットは、家の中に「静かな時間」を生むことができる点です。リビングの一角や階段ホール、2階のフリースペースなどに、ちょっと腰かけられるベンチや壁面本棚を設けるだけでも、そこは特別な“読書の場所”に変わります。絵本から図鑑、マンガまで、自分のペースで本に親しめる空間は、子どもにとって居心地の良い場所になります。
また、家族が自然と集まれるように設計すれば、「読み聞かせ」や「本を通じた会話」も生まれやすくなり、親子のコミュニケーションが豊かになるという効果も。テレビやスマホのない時間を大切にし、感性や語彙力を育むきっかけにもなります。
一方で注意点は、スペースが限定されやすいこと。快適に使うためには、光の入り方や照明の位置、座り心地、収納力などに配慮が必要です。また、せっかく本棚を作っても、手が届きにくい場所にあったり、片付けづらいと、だんだん使われなくなってしまうこともあるため、「出しやすくしまいやすい」設計がカギとなります。
ライブラリーコーナーは、子どもの成長において「読む力」「考える力」を自然に育む場所。家の一角に“静けさと知的な楽しさ”を取り入れることで、心豊かな暮らしを実現できる魅力的な間取りです。

【番外編9】クライミングウォール(ボルダリング)(子どもがすくすく育つ間取り)
クライミングウォールとは、家の壁面を活用してホールド(手足をかける突起)を取り付け、室内でもボルダリングのような運動ができる遊び場のことです。元気いっぱいの子どもたちにとって、雨の日でも体を動かせる魅力的な空間として注目されています。最近では、子育て世帯の遊び心ある家づくりの一つとして人気が高まっています。
最大のメリットは、子どもの体力・筋力・バランス感覚を育てながら、楽しく遊べること。登るという動作には全身の筋肉を使う要素が含まれ、遊びながら運動不足を解消できます。また、高いところにチャレンジする中で「怖いけどやってみたい」という気持ちが育ち、達成感や自信にもつながります。兄弟姉妹がいれば競争したり、協力したりといった関係性も生まれやすく、心の成長にも良い影響を与えるでしょう。
設置場所としては、リビングの壁の一角や吹き抜けの横、階段ホールの壁などが人気。目が届きやすく、安全にも配慮しやすい位置が好まれます。
一方でデメリットもあります。安全性の確保が必要不可欠であり、落下時の対策としてマットを敷いたり、ホールドの高さを調整したりする配慮が求められます。また、成長とともに遊ばなくなるケースもあり、「使わなくなった壁」の活用方法も考えておくと安心です。壁に穴をあけて取り付けるため、将来的な模様替えや撤去にも工夫が必要です。
クライミングウォールは、室内で「遊びながら育つ」環境をつくるユニークな選択肢。身体的な成長はもちろん、挑戦する心を育てるための楽しい間取りアイデアとしておすすめです。

【番外編10】らくがきボード(壁)(子どもがすくすく育つ間取り)
らくがきボードとは、壁の一部や建具にチョークボードやホワイトボード、黒板塗料などを使って、子どもが自由にお絵かきや文字練習ができるスペースを設けたものです。思い切り描いても怒られない“自分だけの表現の場所”があることで、子どもの創造力や自己表現をのびのびと育むことができます。
最大のメリットは、子どもが自由に絵を描いたり、字を書いたりできる環境が家の中にあることです。大人にとっては「壁に落書きされるのは困る」と感じることでも、専用のスペースがあれば、のびのびと創造力を発揮させてあげられます。おえかきや伝言板、学習メモとしても活用でき、兄弟姉妹のコミュニケーションにもなります。
また、家族の共有スペースとして使える柔軟さも魅力です。例えば、今日の予定や買い物リスト、宿題の進捗、家族からのメッセージなどを書き込めば、家庭内の“連絡ボード”にもなります。リビングの一角、階段横、キッチンの近くなど、人がよく通る場所に設けるのがおすすめです。
ただし、素材の選び方や設置場所には注意が必要です。チョークを使う場合は粉が落ちやすいため、床が汚れない工夫や、掃除のしやすさが重要です。ホワイトボードや黒板シートなど、使いやすくメンテナンスのしやすい素材を選びましょう。また、飽きて使わなくなった場合にも、収納や掲示板として再活用できる設計にしておくと長く使えます。
らくがきボードは、遊びと学びが自然に混ざる、子どもにとっての“創造のステージ”。怒られずに自由に表現できる空間は、心の成長にもつながります。

【番外編11】室内ブランコ(子どもがすくすく育つ間取り)
室内ブランコとは、リビングや子ども部屋などの屋内に設置されたブランコのこと。家の中でも体を動かして遊べる設備として人気があり、特に天気や気温に左右されずに遊べる点が子育て世帯に喜ばれています。ちょっとした遊具が家の中にあることで、子どもにとっては日常がぐんと楽しくなる空間に早変わりします。
最大のメリットは、天候に関係なく、安全な環境で子どもが体を動かせることです。外遊びが難しい日でも、体を揺らしたりバランスを取ったりと、運動機能や体幹を育てる遊びができます。ブランコは単純なようでいて、バランス感覚やリズム感、安心感などを育む効果があると言われており、子どもにとっては遊びながら成長できる最高のアイテムです。
また、インテリアとしても工夫すればおしゃれに見せることができ、リビングのアクセントとして機能することも。使わないときは簡単に取り外せるタイプや、収納できるタイプを選べば、空間の邪魔にもなりません。ハンモックタイプやロープ型、木製座面など、バリエーションも豊富です。
一方で、安全性の確保が非常に重要です。天井の構造をしっかりと確認し、耐荷重をクリアした強固な設置が必要です。振り幅が大きすぎると家具や壁に当たってしまうこともあるため、設置場所や遊ぶルールづくりも欠かせません。また、成長とともに使わなくなる可能性があるため、取り外しや他用途への転用がしやすい設計にしておくと無駄になりません。
室内ブランコは、「家にいる時間をもっと楽しく、もっと動ける時間にしたい」という家庭にぴったりの間取りアイデア。遊びと成長の両方を支える、家族にとってうれしい選択肢です。

【番外編まとめ】家づくりに“遊び心”と“成長の視点”を
今回ご紹介した番外編では、スキップフロアやロフト、2階リビングのような空間活用の工夫から、ウッドデッキや書斎コーナーといった暮らしに深みを与えるアイデア、さらに子どもの成長をサポートする多機能リビングや学習・遊びスペースまで、さまざまな“+α”の間取りをご紹介しました。
どれも共通しているのは、「ただ住むだけでなく、暮らしを豊かにする空間」であること。限られた面積の中でも、発想や工夫次第で心地よさ・便利さ・楽しさを兼ね備えた住まいが実現できます。そして何より、こうした空間があることで、家族が自然と集まり、コミュニケーションが生まれ、思い出が重なっていくのです。
一方で、番外編のアイデアは見た目の面白さや憧れだけで選ぶと、「使わなくなった」「管理が大変だった」といった後悔につながる可能性もあります。重要なのは、自分たちのライフスタイルや将来の変化に合っているかどうか。子どもの成長、親の年齢、生活の変化を見据えながら、柔軟に対応できる設計を心がけましょう。
暮らしに遊び心を取り入れつつ、実用性や安全性もしっかりと備える。それが、これからの“賢い家づくり”のポイントです。あなたの家族らしい空間をつくるヒントとして、今回の番外編が少しでも参考になれば幸いです。
当社は、経験豊富な一級建築士が詳細な現地調査と綿密な打ち合わせをして、お客さまのご希望に沿った質の高い提案やコーディネイトのお手伝いをさせていただきます。
また、詳細な見積りを行うため、お客さまのご要望で行う追加変更工事以外の追加料金は発生しません。
お客さまのご要望で行う追加変更工事が発生した場合も、都度お見積りをさせていただき、ご納得されたうえで工事を行います。
広島県庄原市・三次市で新築・注文住宅やリフォーム・修繕をお考えのお客さま。
「HASEMOKU」では、お客さまにご満足いただけるように一緒に考えます。