試し読み『No,3 家づくりのはじめ方』

 「自分の家を建てるぞ!」
 こんな希望をもって住宅展示場を訪ねたにも関わらず、なぜその「家づくりのはじめ方」が間違った方向へ進んでしまうのか?

 あるご夫婦の例で、これをご説明しましょう。

【ある三十代の夫婦の家づくりのはじめ方】
●金曜の夜の会話
夫 「住宅情報誌を買って色々勉強したけれど、写真だけじゃ、いま一つわかりにくいなあ。それに雑誌に書いてる説明を読んでも、よくわからないし」

妻 「どこかのハウスメーカーに連絡して聞いてみたら?」

夫 「それも何だか嫌だな。一度電話したらしつこく営業されそうだし、結局、その会社で建てないと文句を言われるんじゃないか?」

妻 「確かに、相談だけではすまないかもしれないわね」

夫 「とりあえず、住宅展示場に行ってみようか?A市に〇〇モデルルームがあっただろ?モデルルームなら気軽に行けるし、見るだけならそれ以上営業をかけられることもないだろう」

妻 「そうね。今度の日曜日にいってみましょうか」

●日曜日
こうして夫婦はA市にある住宅展示場にやってきました。
〇〇ホームはテレビでよくCMを流していて、二人も会社の名前はよく知っていましたから、何となく「ここに頼めば大丈夫だろう」と思っていました。

夫 「ずいぶんしゃれた外観だな。うちの近所にはこんな素敵な家はないね」

妻 「出窓もあるし。花を飾ったら素敵ね」

夫 「玄関も広くて、使いやすそうだ」

妻 「このドアもおしゃれだわ」

営業「こちらは四十五坪、5LDK、坪単価は四十万円になります」

夫 「坪単価四十万円ですか。この設備でその金額ならかなりお買い得ですね?」

営業「収納スペースも五ヵ所もありますし、キッチンの設備も充実させています」

妻 「本当。キッチンのシンクも収納棚も使いやすそうだわ。それにユニットバスの設備も、ウチのものよりずっといいわよ」

営業「ユニットバスの設備は、最高のものを使っています」

妻 「それに、このカーテンや照明も素敵よ。センスがいいわ。私、この家が気に入ったわ」

こうして、夫婦は〇〇ホームに決めました。営業担当者に見積りをするように依頼したのです。

 

●数日後
営業担当者が見積書を持ってやってきました。

夫 「わざわざありがとうございます。知人にこの間見せてもらったモデルハウスの話をしたのですが、あのグレードの家が坪四十万円で建てられるなんて破格だと言われました」

営業「そうですか。ただ、先日ご覧いただいたキッチンとユニットバスは最新の設備ですので、標準料金のほかにオプションがかかります。またドアや照明器具、カーテンもオプションです。照明器具やカーテンは内装工事が終わってから取り付けしますから、その値段で決めていただいても構いません」

夫 「えっ?それがみんなオプションになってしまうんですか?じゃあ、坪四十万円ではあの家は建てられないということですか?合計金額はいったいいくらになるんですか?」

営業「本体価格一八〇〇万円、キッチンとユニットバス、ドアのオプション料金が一八〇万円、照明器具とカーテンが六〇万円、屋外給水排水設備一六〇万円、それに経費二〇〇万円を加えて、二四〇〇万円になります」

 「坪単価は四十万円で四十五坪なら、合計金額は一八〇〇万円」だと誰でも思うでしょう。しかし、現実はそうならないのです。「ハウスメーカーの住宅にオプションをつけると、一声で一〇〇万円」とまで言われます。

これは極端な例かもしれませんが、モデルルームと同じような家を建てようとすると、必要以上に高価な家をつくることになってしまうのです。

それはなぜか?

 

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